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記事 — PC・周辺機器

社員が増えたときのPC準備 ― 届いた日からでは遅い、注文前の段取り

従業員5〜50名・IT専任者がいない会社向け | 更新日:2026年10月30日

新入社員用に新しいノートPCを準備するイラスト

入社日が決まってから慌ててPCを注文し、届いた日に箱を開けて、そこで初めて考える。情シスがいない会社では、だいたいこの順番で詰みます。初日の午前中、新入社員はメールにログインできず、共有フォルダも開けず、結局その日は「見学」で終わる。悪いのはPCの性能でも、本人の段取りでもありません。PC準備で時間を使うのは、箱を開けてからの設定ではなく、その前後にある「人とアカウントの手続き」だからです。この記事では、準備を5つの場面に分け、社長が決めることと、後回しにすると詰む理由を整理します。

先に結論 — 準備は5つの場面で型にする

  1. 購入前 ― 用途と「誰の・いつの分」かを決める(目安30分〜1時間)
  2. PCが届いた日 ― アカウントの作り分けと台帳への記録(目安45分〜1時間30分)
  3. 入社初日まで ― 業務用アカウントの発行と二段階認証(目安30分〜1時間)
  4. 1週間以内 ― 接続とバックアップの動作確認(目安20〜40分)
  5. 退職・異動のとき ― 止める・引き継ぐ・台帳を直す(目安30分〜1時間)

時間はいずれも目安です。場面ごとに分けておくと、1人増えるたびにゼロから悩まずに済みます。

なぜ「届いてから考える」と詰むのか

アカウント発行には、相手と順番がある

メールやチャットのアカウントは、発行すれば終わりではありません。招待や通知は本人の手元に届き、初期パスワードの変更も本人が行います。管理者がパスワード自体を預かる運用にすると、後で「誰がいつ入ったか」が追えなくなります。発行の段取りを初日に寄せると、本人が目の前にいるのに手続き待ち、という状態になります。

二段階認証は、本人の端末がないと進まない

二段階認証(ログイン時に追加の確認を入れる仕組み)の設定は、本人のスマートフォンとセットで行うものです。PCだけ先に用意しても設定は完了せず、かといって初日にまとめてやろうとすると、他のセットアップと競合して抜け漏れが出ます。手順は記事「セキュリティの最低限」とそろえ、初日までの場面で終わらせる前提で組みます。

データと権限は「後から狭める」のが一番大変

共有フォルダやSaaSの権限を、とりあえず全部入りで渡すのは簡単です。でも後から「この人は見なくてよかった」を剥がす作業は、範囲の確認からやり直しになります。前任者のデータ移行も同じで、どれを引き継ぎ、どれを残すかは、PCが届いてからではなく注文前に決めることです。

1注文前に決めること(目安30分〜1時間)

  • 用途を決める(事務中心/外出が多い/図面や画像を扱う)。必要な性能は用途で変わります
  • 台数ではなく「誰の・いつの分」かを、入社日ベースで決める
  • 予算は本体価格だけで見ない。本体+保証+周辺機器+初期設定の手間まで含めた総額で見る。月額サービスを伴う場合は、初期費用とランニングコスト(月額×12か月=1年分)に分けて比べる
  • 保証期間と、壊れたときに何日止まれるか(代替機があるか)を確認する
  • 必要なソフト、データ、共有フォルダの範囲を決める(全部入りにしない)
  • 買う場所を決める。台数が少なく用途が事務中心なら直販で十分な場合があります。キッティング(初期設定)まで含めて台数が多い場合は、販売店に頼む方が自社の手間を減らせる場合があります
最初の一手

次に入る社員の「用途・入社日・総額の上限」を1行で書く

完了の目安

注文前に決める項目が、チェックリストの「購入前」で漏れなく確認できている

届いた日から初日まで ― 当日〜1週間の流れ

2PCが届いた日(目安45分〜1時間30分)

箱を開けたら、まず土台をそろえます。管理者アカウントと日常用アカウントを作り分け、OSとソフトのアップデートを最新まで当て、ウイルス対策が有効かを確認する。バックアップの保存先を決めて自動バックアップを有効にし、PC管理番号を決めて資産台帳に記録します(機種/シリアル/購入日/使用者)。台帳は、アクセスできる人を限定してください。

3入社初日まで(目安30分〜1時間)

業務用アカウント(メール/チャット/共有フォルダ)を発行し、主要なアカウントに二段階認証を設定します。パスワードは会社のパスワード管理ツールに登録し、初期パスワードの変更は本人に行ってもらう。権限は必要なSaaSだけに付け、周辺機器(モニター/マウス/ケーブル類)をそろえます。

41週間以内(目安20〜40分)

共有フォルダやプリンターにつながるかを確認し、バックアップが実際に動いているかを記録で確認します。可能なら、対象ファイルを1つ戻せるか試してください。最後に、困ったときの連絡先と「障害時に勝手に初期化しないこと」を本人に伝えます。ここまでが、入社準備の完了です。

5退職・異動のとき ― 作りっぱなしにしない(目安30分〜1時間)

PC準備は、渡すときだけの話ではありません。退職・異動のときに、アカウントの停止、共有ファイルの所有者と引き継ぎ先の変更、PCの回収と初期化前のデータ確認、台帳の使用者変更・抹消、共用パスワードの変更までやって、初めて1人分が閉じます。入社の場面で台帳とアカウントの一覧を作ってあるからこそ、退職の場面で「何を止めればいいか」が漏れません。作りっぱなしのアカウントは、そのまま放置された入口になります。

費用の考え方

PC準備のコストは、本体の価格だけではありません。保証・周辺機器と、設定や確認にかかる自社の作業時間まで含めて見ます。月額サービスを伴う場合は、初期費用とランニングコスト(月額×12か月=1年分)に分けて比べるのが、このサイトの物差しです。金額は製品や契約で変わるため、ここでは断定しません。

後回しでよいこと(最初は)

  • 高機能な資産管理ツールの導入(まずは台帳1枚を回す方が先です)
  • 全員分の機種をそろえるための一斉買い替え(増員のたびに型を回せる状態が先です)

まとめのチェック

  • 注文前に、用途と「誰の・いつの分」が決まっている
  • 管理者用と日常用のアカウントを作り分けている
  • 業務用アカウントの発行と二段階認証が、初日までの段取りに入っている
  • バックアップが実際に動くことを確認している
  • 退職・異動のときに止めるものが、台帳から追える

よくある質問

前任者のPCを使い回せば、新しく買わなくてよいですか?

状態と用途が合えば選択肢にはなります。その場合も、データの引き継ぎ確認と初期化、アカウントの作り分け、台帳の使用者変更は省略できません。「買わない」ことと「準備しない」ことは別です。

いつから動き始めればよいですか?

入社日が決まった時点で、購入前の場面から始めてください。詰まる原因はPCの到着ではなく、アカウント発行や二段階認証など、人と順番が絡む手続きです。場面ごとの作業時間は目安を本文に書きました。

チェックリストにパスワードを書いてよいですか?

書かないでください。パスワードや認証コードは、会社のパスワード管理ツールで扱うものです。チェックリストは「やったかどうか」を記録する紙で、秘密を書く紙ではありません。

販売店に頼むべきなのは、どんな場合ですか?

台数が多い、キッティングまで含めると自社の手が回らない、止められない業務のPCを扱う場合は、販売店や専門業者に頼む価値があります。台数が少なく用途が事務中心なら、直販とこの型で回せる場合があります。