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会計・給与ソフトの選び方 ― 機能より先に「税理士とどう共有するか」を決める
「月末の集計に丸一日かかる」「領収書の束を税理士へ渡すたびに、聞き返しの電話が来る」。会計まわりの手間は、従業員が増えるほど静かに膨らみます。ただ、ここでいきなり評判のよい会計ソフトを買うと外すことがあります。会計ソフトは自社だけで完結する道具ではなく、税理士とのやり取りの真ん中にある道具だからです。
この記事では、製品を比べる前に決めることを、5つに絞って整理します。
先に結論 — 決める順番はこの5つ
- 税理士との共有方法を決める(クラウドで共有するか、データ渡しか)
- 月次・年次で困っている作業を書き出す
- 会計と給与を、同じサービスにするか分けるか決める
- 自社で入力する範囲と、税理士に任せる範囲を分ける
- 費用を初期費用とランニングコストに分けて比べる
各項目には「最初の一手」と「完了の目安」を付けました。
決めることの5つ
1税理士との共有方法を決める
会計ソフト選びで先に決めるのは、機能ではなく共有方法です。大きく分けて、次の3通りがあります。
- クラウドで共有する:税理士も同じデータを見られる形。自社が入力した内容を、そのまま確認してもらえる
- データを渡す:月ごとにデータを書き出して送る形。ソフトは自社で選べるが、渡す・取り込む手間とタイムラグが残る
- 税理士側のツールを前提にする:税理士が使い慣れたソフトに合わせる形。連携は滑らかだが、自社の使い勝手や費用は税理士側の条件に引っ張られる
どれが正解かは会社ごとに違います。ただし順番だけは共通で、ソフトを契約してから税理士に報告するのが一番多い失敗です。連携できない、確認のたびにデータ変換が要る、といった事態は、契約前の一言で避けられます。
次に税理士と話す機会に「クラウドで共有したいが、使えるツールの条件はあるか」を聞く
共有方法が3通りのどれか、言葉で言える状態になっている
2月次・年次で困っている作業を書き出す
次に、「何に時間がかかっているか」を作業単位で書き出します。漠然と「会計が大変」では、ソフトに求めるものが決まりません。
- 領収書・請求書の整理と入力
- 銀行口座やカード明細の取り込みと仕訳(取引の分類分け)
- 請求書の発行と入金確認
- 給与計算と明細の配布
- 年末調整や決算前後の資料作り
書き出すと、「入力そのもの」より「明細の取り込みと照合」に時間がかかっている会社が多いことに気づきます。求める機能は会社ごとに違うので、製品の機能一覧より先に、自社の作業一覧を作るのが順番です。あわせて、インボイス制度や電子帳簿保存法(帳簿や書類を電子データで保存する際のルール)への対応が必要な範囲も、税理士に確認しておきます。
先月の月末作業を思い出し、時間がかかった作業を3つ書き出す
困っている作業が、ソフトで楽にしたい順に並んでいる
3会計と給与を、同じにするか分けるか
会計と給与は、同じ会社のサービスでそろえる方法と、別々のサービスを使う方法があります。
- そろえる利点:給与の計算結果が会計の仕訳に流れやすく、二重入力が減る。窓口とログインも1つで済む
- 分ける利点:それぞれ得意なものを選べる。給与だけ人数が増えても、会計側の契約に影響しない
どちらでも成立しますが、決めずに始めると「給与は別のソフト、会計はこっち」と後から継ぎ足す形になり、連携の設定でつまずきます。項目1の共有方法とあわせて、最初に線を引いてください。
給与計算をいま誰が・どの方法でやっているかを書き出し、会計とそろえるか分けるかを仮決めする
会計と給与の組み方が1文で言える
4自社で入力する範囲と、税理士に任せる範囲を分ける
クラウド会計にすると、「自社でどこまで入力するか」で費用も手間も変わります。日々の入力まで自社でやる形、領収書や明細の取り込みまで自社でやって仕訳の確認は税理士、という形、入力自体も税理士に任せる形。どれもあり得ます。
注意したいのは、ソフトを入れただけでは手間は減らないことです。入力の担当と範囲が曖昧なまま導入すると、「税理士も見ているはず」「自社でやるはず」の境目で作業が止まります。範囲を決めることは、そのまま月額プランの選び方にもつながります(入力支援やサポートの範囲でプランが分かれる製品が多いためです)。
「日々の入力」「月末の確定」「年末調整・決算」を、自社と税理士のどちらがやるか表にする
役割分担の表があり、税理士とも認識が合っている
共有方法が決まっていて、自社入力の範囲も小さい会社。メーカー直販のクラウド会計から小さく始められます
税理士が使えるツールに前提がある場合。契約の前に税理士へ確認を。連携できないツールを先に買うのが、このカテゴリで一番多い失敗です
5費用を初期費用とランニングコストに分けて比べる
候補が絞れたら、最後に費用です。会計・給与ソフトの費用は、初期費用(導入時の設定やデータ移行の費用)と、ランニングコスト(月額×12か月=1年分)に分けて比べます。
見るポイントは次の3つです。
- 月額の課金単位:会社単位か、利用者1人あたりか。給与は従業員1人あたりの単価で計算されるプランが多いので、人数が増えたときの増え方も確認する
- 移行費用:過去データの移行や初期設定を頼む場合、その費用は初期費用として別枠か
- 無料期間の扱い:試用期間が終わった後の月額で1年分を計算する(最初の数か月の安さで比べない)
金額は製品・プラン・人数で変わるため、この記事では断定しません。候補の公式ページで単価を確認し、1年総額に直してから比べてください。具体的な比べ方は「比較の見方」にまとめています。
候補を2〜3に絞り、それぞれ「初期費用」と「月額×12か月」を公式ページで確認する
候補ごとに1年総額が出ていて、差の理由(人数単価か、プランの範囲か)が言える
後回しでよいこと(最初は)
- 過去何年分ものデータをすべて移行すること(直近分から始め、古い分は元の形で参照できれば足りる場合が多いです)
- 経費精算や請求書発行まで含めた一括入れ替え(月次集計の型ができてから広げても遅くありません)
- プランの上位機能の比較(自社の作業一覧にない機能は、比較の土俵に上げなくて構いません)
ただし、決算や申告の直前に導入時期が重なる場合は、後回しにせず、まず税理士と時期の相談をしてください。
まとめのチェック
- 税理士との共有方法(クラウド共有/データ渡し/税理士前提)が決まっている
- 月次・年次で困っている作業を、楽にしたい順に書き出した
- 会計と給与を、そろえるか分けるか決めた
- 自社で入力する範囲と、税理士に任せる範囲が表になっている
- 候補の費用を、初期費用と月額×12か月に分けて比べた
候補を3つに絞る ― 主要3製品の比較と、このサイトの結論
「決めることの5つ」が済んだら、候補は国内の主要3製品から絞るのが現実的です。料金・機能・サポート体制は各公式サイトの表示(2026年10月31日確認、法人向け・税抜)をもとに確認しました。PR製品名とボタンのリンクはアフィリエイトリンクです。
このサイトの結論(従業員5〜50名・情シスなし・顧問税理士あり、という前提で)
情シスがいない会社で経理が止まる原因は、機能不足より「分からなくて止まる」ことです。電話サポートと仕訳相談があり、税理士とのリアルタイム共有が公式に整備され、無料体験も最長の2か月。料金も年額固定で読みやすい。迷ったらここから試すのが堅実です。
請求・経費・給与まで一式そろう統合力は3製品で随一です。ただし電話サポートは登録後の2か月・予約制のみで、困ったときの解決はチャット中心。料金は複数サービス込みのスイート価格です。「会計だけでなく事務全体をクラウド化したい」会社では1位になります。
銀行・カード連携から仕訳まで一気に進める自動化の深さは随一。ただし料金に従量課金があり総額が読みにくく、独自の操作体系に慣れる学習コストもかかります。「経理を仕組み化する」と決めている会社では1位にもなりますが、初めてのクラウド会計としては壁が高めです。
順位の根拠:公式確認済みの料金・サポート体制・連携範囲と、このサイトの読者像(情シス不在・税理士と二人三脚)への適合で判断しました。紹介料の額では決めていません。なお、顧問税理士に指定・推奨の製品がある場合は、この順位よりそちらが優先です。
| 比べる軸 | 弥生会計 Next | マネーフォワード クラウド会計 | freee会計 |
|---|---|---|---|
| 入口プラン(年額・税抜) | 34,800円(エントリー) | 53,760円(スモールビジネス、複数サービス込み) | 65,760円+従量課金(スターター) |
| 中心プラン(年額・税抜) | 50,400円(ベーシック) | ビジネスは公式で確認 | 107,760円+従量課金(スタンダード) |
| 無料体験 | 最大2か月 | 1か月 | 30日間 |
| 電話サポート | あり(プランにより。仕訳相談も可) | 登録後2か月のみ・予約制(チャット・メールは全プラン) | 予約制(スターター以上) |
| 税理士との共有 | リアルタイム共有と会計事務所連携が公式の軸 | クラウド上で共有可 | クラウド上で共有可(認定アドバイザー制度) |
| 給与との連携 | 弥生給与 Next(別契約)と連携 | クラウド給与が同じ料金体系内で仕訳まで自動 | freee人事労務(別契約)から仕訳を自動作成 |
| 自動化の特徴 | AIが勘定科目を提案し、入力を支援 | 金融機関2,300超と連携し仕訳候補を作成 | 明細取得から仕訳反映まで自動記帳が核 |
| 料金で気をつける点 | 年額固定で読みやすい | スイート価格のため会計単体との単純比較に注意 | 従量課金で総額が変動する |
- 基本料金はいずれも「3名まで」が目安。4名以上は1名あたり月300円(税抜)の追加が目安で、「何人で使うか」で総額が変わります
- インボイス制度・電子帳簿保存法には3製品とも対応しています(公式確認済み)
- 月契約だと2〜3割高くなります。まず無料体験で確かめ、年契約は「続ける」と決めてからにしてください。料金は変わることがあるため、申し込み前に各公式サイトの現在の表示をご確認ください
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よくある質問
税理士に相談せず、自社で決めて契約してもよいですか?
おすすめしません。税理士が確認できない形式のデータを渡すことになると、月末のたびに変換や聞き返しが発生します。契約前に「どの方法で共有するか」だけでも確認してください。逆に、共有方法さえ合っていれば、製品の候補選びは自社で進めて構いません。
会計と給与は、同じ会社のサービスにそろえるべきですか?
必須ではありません。そろえると仕訳への連携が楽になり、分ければそれぞれ得意なものを選べます。判断材料は、自社の給与計算の複雑さと、税理士との共有方法です。決めずに継ぎ足すのが一番つまずくので、最初に線を引くことだけは共通です。
導入の時期はいつがよいですか?
月末・決算の直前は避け、区切りのよい月から始めるのが無難です。期の途中から始める場合は、その期のデータをどこから新ソフトに入れるかを、税理士と先に決めてください。
費用はどのくらい見ればよいですか?
製品・プラン・人数で変わります。主要3製品の入口プランは、上の比較表(年額・税抜)にまとめました。人数が増えたときの追加料金まで含めて、「かんたん費用計算」で1年総額に直して比べてください。
税務の判断に迷ったときは、どうすればよいですか?
税務そのものの判断は、このサイトでは扱いません。顧問の税理士にご相談ください。この記事が扱うのは、ソフト選びの順番と費用の見方だけです。
※ この記事の製品リンクはアフィリエイトリンク(PR)です。リンク先は各メーカー公式サイトです。料金は2026年10月31日に公式サイトで確認した表示で、申し込み前に現在の表示をご確認ください。税務そのものの判断は税理士へご相談ください。